医薬品を発売するためには、事前に製薬メーカー側で実験を行い、その薬効性と人体への安全性を確認しなければならない。その際に借り出されるのが新薬臨床試験ボランティア、通称「治験」と呼ばれるアルバイトだ。
いうなればモルモット役とも言えるこの仕事、昔からラクして稼げることでつとに有名だ。薬の種類はカゼ薬や湿布薬から、血圧調整剤や心臓薬といった専門的なものまで様々で、報酬は「３泊４日で７万円」が相場。１週間以上の長期泊になるとウン十万もの報酬になることもある。対象は健康な成人男子。（女性は生殖機能への影響から不可の場合が大半）なら誰でもＯＫだが、受けられる試験は
テストのみ。第Ⅱ、第Ⅲ相についてはその薬がターゲットとなりうる症状を有している者に限られる。したがって、バイトと割り切って稼ぐ者のほとんどは第１相に該当するといっていいが、シゴトにありつくのが難しいのもこの第１相だ。
そもそも治験は、製薬メーカーから委託を受けたＣＲＯ（臨床試験受託機関）が行っており、インターネットで公募する機関もあるものの、多くは「糖尿病の方へ」「睡眠障害の方へ」といった第Ⅱ、Ⅲ相の募集情報。ときに「健康な成人男子」の募集情報が掲載されても、若干名募集のわりに競争率がすさまじい。というのも、元々このバイト、昔から厚生労働省の指導で口コミによる紹介が原則で、ネットやアルバイト情報誌（まれに医療メーカーが求人をかけることもある）での募集はごくわずかでしかないのだ。一般的に、副作用の可能性と報酬は比例するといわれ、早い話、ヤバイ薬ほどカネがもらえる。例えば、精神安定剤などの向精神薬や睡眠薬といった類はウン十万クラスの高報酬のコースが多いが、その分、退院後に目まいがしたり、情緒不安定になったり、睡眠障害に悩まされるケースもあるそうだ。AV
